
オーストラリアのタックスリターン方法を徹底解説【2021-2022年度版】
2022年07月01日
オーストラリアの会計年度は7月1日始まり、6月30日締めとなり、毎年7月になるとオーストラリアで収入があるすべての人に申請義務が発生します。
無駄に払っている税金が返ってくる場合もあるのでやり方をしっかりおさえ、申請しましょう。
今回は、オーストラリアのタックスリターンの申請方法を詳しく解説していきます。
目次
タックスリターン(Tax Return)とは?
タックスリターン(Tax Return)とは、毎年7月1日から翌年の6月30日までを期限とした1年間の収入を申告することで、日本でいうと確定申告のようなものになります。
申告は義務ですので、収入がある人は必ず申告してください。
タックスリターンによって払いすぎた税金が戻ってきたり、逆に税金が必要な額を納付できていない人が追加で支払ったりすることになります。
銀行の利子分なども含めるため、追加で支払う人の方が多いですが、ワーキングホリデービザなどメディケア税が不必要なビザの所持者の場合は、メディケア税分が返ってくるので追加分を差し引いた額が返ってくるでしょう。
<申告対象の人>
※市民権や永住権のある人のみでなく、ワーキングホリデービザや学生ビザで滞在する人でも、わずかでも収入がある場合はタックスリターンをする義務が生じます。
2020-2021年度のタックスリターンは、2021年7月1日から10月31日までに申告する必要があるので、必ずその期間に申告するようお気をつけください。
※申告期間が過ぎたり、申請にミスがあった場合は罰金を支払う可能性があります。
タックスリターン申告に必要な書類
タックスリターンの申告に必要な書類は以下の通りになります。
雇用主がSingle Touch Payroll(シングルタッチペイロール)を利用してリアルタイムでの申告をしていた場合、インカムステイトメントをmyGOVで確認しましょう。
今はこちらが主流となっているので、基本的にPAYG Payment Summaryは気にする必要がなくなりました。
※myGovに登録していない場合は、国税局(ATO)に直接電話してインカムステイトメントを送ってもらう必要があります。
日本で言う源泉徴収票のこと。
雇用主がシングルタッチペイロールを利用していない場合、ペイジーペイメントサマリーが必要となります。
各雇用者は7月14日までに発行し、従業員へ書類もしくはデータを渡さなければなりません。
タックスリターンを申請するまでにペイジーペイメントサマリーを受け取っていない場合は、すぐに雇用主へ問い合わせましょう。
<Single Touch Payroll(シングルタッチペイロール)とは>
シングルタッチぺイロールとは、2018年7月1日により始まった従業員の給料、スーパーアニュエーション、源泉徴収税の情報をATOに送る制度(方法)となります。
従業員数が20人以上の会社の雇用主はシングルタッチペイロールにて従業員の給料などをリアルタイムで税務署に送らなければならなくなりました。
また、2019年7月1日からは従業員が20人未満の会社の雇用主もこのシングルタッチペイロールを利用するよう義務付けられました。
日々の買い物で、仕事に関係するもの、仕事のために購入したものの領収書・レシートは常にとっておきましょう。
タックスリターンの際にまとめて申告することができます。
ただし、職種によって落とせる経費の種類が法律で定められているため、それ以外の不必要なものを申告すると罰金や監査が入る場合があるので、不用意な申告は避けましょう。
基本的にはユニフォームにかかったお金や、出張・外回りなどにかかった経費などを申告したりできます。
※職種やABNで収入を得ている人によっては、申告できるものが増え、変わってきます。職場のミーティングでの会食費とか。
オーストラリアの所得税について
オーストラリアの所得税は、オーストラリア居住者と非居住者によって税率が異なります。
簡単に説明すると、居住者と非居住者だと、非居住者のほうが払う税額が高くなります。
居住者の場合は0%から始まりますが、非居住者の場合はいくら収入が低くても32.5%からの税率で所得税を払わなくてはなりません。
ただし、居住者の場合はメディケア(国民保険)に対するメディケア税が発生し、徴収されます。税率は0-3.5%となります。
※低所得者は免除または軽減されます。
非居住者の場合は一旦給料とともに差し引かれますが、タックスリターンの際に返済されるのが一般的です。
所得税の税率は以下の通りになります。
居住者の場合
収入 | 所得税率 | 補足 |
$0 – $18,200 | 0% | $18,200まで0% |
$18,201 – $45,000(去年まで$37,000) | 19% | $18,200まで0%でそれを過ぎたら$45,000まで19% |
$45,001 – $120,000(去年まで$90,000) | 32.5% | 0%、19%、それを過ぎたら$120,000まで32.5% |
$120,001 – $180,000 | 37% | 0%、19%、32.5%、それを過ぎたら$180,000まで37% |
$180,001以上 | 45% | 0%、19%、32.5%、37%、それを過ぎたら45% |
※学生ビザで6ヶ月以上のコースを受講する人、メディケアカードをもらえるビザを取得している人は居住者枠になります。(パートナービザや永住権保持者など)
非居住者の場合
収入 | 所得税率 | 補足 |
$0 – $120,000(2020年まで$90,000) | 32.5% | $90,000まで32.5% |
$120,001 – $180,000 | 37% | $90,000まで32.5%でそれを過ぎたら$180,000まで37% |
$180,001以上 | 45% | 32.5%、37%、それを過ぎたら45% |
※学生ビザで半年未満のコースを受講する人や、ワーキングホリデービザの人は非居住者に分類されます。
ただし、ワーキングホリデービザの人は別の税率となりますので、下記をご覧ください。
ワーキングホリデービザ保持者の場合
通称「バックパッカー税」とも呼ばれ、ワーキングホリデービザ保持者の払う所得税のことです。ビザのサブクラスが417 (Working Holiday)、462 (Work and Holiday)の場合は以下の税率となります。
収入 | 所得税率 | 補足 |
$0 – $45,000(2020年まで$37,000) | 15% | $45,000まで15% |
$45,001 – $120,000(2020年まで$90,000) | 32.5% | $37,000まで15%で、それを過ぎたら$120,000まで32.5% |
$120,001 – $180,000 | 37% | 15%、32.5%、それを過ぎたら$180,000まで37% |
$180,001以上 | 45% | 15%、32.5%、37%、それを過ぎたら45% |
去年よりタックスのレート額の幅が広くなり、稼ぐ人によっては多少税金を引かれる額が少なくなりました。
これは嬉しいですね。
タックスの簡単な計算はATO(Australian Taxation office)のサイトでできるので、申請前に確認したい場合はこちらで計算してみてくださいね。(英語のみ)
タックスリターンの申請方法
それでは実際にタックスリターンを申請する際の手順を紹介していきたいと思います。
タックスリターンを申請する時までに上記で説明した必要な書類を用意しておきましょう。
myGovでアカウント作成
まずmyGovへ行き、アカウント作成をします。
myGovに登録することにより、タックスリターンを簡単に済ますことができるのでまずはアカウントを作ってからタックスリターンの申請をしましょう。
下記のリンクへ飛ぶと、上記の画面が表示されます。
ここの、「Create an account」をクリックして登録を済ませます。
myGovでアカウントを作成する
myGovとATO(Australian Taxation office)をリンクさせる
myGovのアカウント作成が終わったら早速ログインをしてATOとリンクさせましょう。
「Link a service」の欄にあるAustralian Taxation officeをクリックして、リンクさせるために必要な情報を記入します。
リンクが完了したら、myGovの自分の画面にAustralian Taxation officeが表示されるので、そこからタックスリターンを申請しましょう。
myGovからATOへ飛び、タックスリターンの申請を開始する
myGovの画面から「Australian Taxation office」を選択してサイトへ飛びます。
Australian Taxation officeへ行くと、For Actionに今年度のタックスリターンのやつがでているはずなので、ここから申請を行います。
「Prepare」をクリックして先に進みます。
ステップ1.連絡先の詳細(contact details)
自分の連絡先を記入します。記入する内容は以下の通りになります。
記入したら「NEXT」で次へ進みます。
ステップ2.銀行口座の詳細(financial institution details)
次の画面では自分の銀行口座の詳細を記入します。
ワーキングホリデーで、会計年度が終わる6月末までにビザがきれるという人は、日本からも申請可能ですが、その場合はオーストラリアの口座を閉めずに開けたままにしましょう。
口座を閉めても返金がある場合に受け取ることもできますが、その場合小切手で日本に郵送されますので、できれば口座を閉めずに持っていると手続きが簡単でしょう。
また、ビザの失効期限によってオーストラリアを離れなければならない場合(もう帰ってこない場合)は早期申請が可能ですが、早期申請の場合はオンラインでの申請ができず、書類をATOへ提出しなければなりません。
書類は、ATOのサイトでダウンロードして記入するか、ニュース・エージェンシーなどで手に入るTAXPACKの申請用紙を使います。
自分の口座のBSBや口座を作ったブランチ(店舗)の住所などを記入し、「NEXT」で次へ進みます。
ステップ3.所得についての詳細(personalise return)
次の画面では自分の所得についての詳細を記入します。
いくつかの質問があり、選択式で答えていく画面となります。
聞かれることは、
※ワーキングホリデーや短期滞在の学生の人は非居住者ですので「NO」で大丈夫です。
※自分と配偶者の所得が合計されて1家族の所得としてみなされます。
※銀行で得た利息もしっかり報告しましょう。
などなど、とりあえず自分が稼いだ額をきっちり申告するために、どこからどれだけ所得があるかの確認する画面です。
申告したい経費の種類を選択して、次の画面で申請することができます。
ステップ4.自分の収入と経費・メディケアなどの詳細(prepare return)
最後のステップでは、「Payment Summaries」にて、きちんと手続きがされていれば自分の働いている会社と、自分の収入の金額が表示されているはずです。
表示されていない場合は、自分で入力しましょう。
銀行口座の利息などがある場合は、このページに記載しましょう。(所得扱いとなります)
「Deductions」では、申告したい経費について記入します。
経費のおりる種類は職種によって変わると思いますが、基本的には仕事をする上で必要な経費は申請することができます。
例えば、職場のユニフォームや、職場で使う靴、仕事中の外回りのガソリン代(通勤は含まれません)だったり、社用車や仕事用のツールなどさまざまです。
ただし明らかに虚偽の申告をしたりすると、最悪の場合罰金となる場合があるので、お気をつけください。
DeductionsについてはATOのサイトで詳しく説明がありますので、そちらをご覧ください。
次に「Medicare and private health insurance」の入力になります。
こちらはメディケアなどの保険についてで、ワーキングホリデービザで滞在する人など、メディケアの恩恵を受けていない人は、ここで保険料を免除することが可能です。
「Medicare levy redution」では、所得のない子供や学生を養っているかどうかの質問です。
ワーキングホリデーの人や、関係のない人はこの欄は空欄のままで大丈夫です。学生や、所得のない子供がいる場合はここにその人数を入力して、メディケア保険料の徴収免除を申請しましょう。
減額もしくは免除が受けられます。
次の「Medicare levy exemption」では、カテゴリー1,2,3に該当する人はYESを、該当しない人はNOを選択します。
ワーキングホリデーの場合は「YES」を選択しましょう。
「Full 2% levy exemption」に、2020年7月1日~2021年6月30日までの間にオーストラリアに滞在していた日数を入力しましょう。(丸一年いた場合は365で大丈夫です。)
その後聞かれるのが、
ここまで入力が終わると、おおよその自分に請求もしくは返却されるお金の合計が表示されます。
すべてを確認した後、「Declaration」を読んで確認チェックを入れた後、Lodgeボタンをクリックしたらタックスリターンの申請が完了となります。
その後、2週間前後でメールが届き、返却がある場合は記入した銀行口座に振り込まれています。
もしタックスリターンをし忘れていたら?
6月30日で会計年が終わりますが、7月1日から10月31日までの期限に申告することができなかった場合どうなるのでしょうか?
その場合について説明していきます。
ずばり、申告を忘れていても申告をすることはできます。
ただし、すぐにでも申告をしないと、罰金などが課せられる場合がありますので急ぐ必要があります。
また、ATOからタックスリターン申告勧告が届く場合もあります。
そういった場合、何日以内に対応するようにと書かれているので、政府などからきた手紙は内容をしっかり読んですぐに対応しましょう。
そのままタックスリターンをせずに放置していると、追徴課税だったり、罰金が課せられるのでお気をつけください。
タックスリターンに関する注意点
タックスリターンに関する注意点としては、
となります。
まず、期日は必ず守りましょう。
10月31日までに申請できない場合は最悪罰金などが課せられるので、7月にはいったらタックスリターンをするということを念頭に置いておきましょう。
また、タックスリターンを申請する際は正確な情報が求められます。
申請内容の不備が見つかった場合は自分で対処しなくてはならなく、少々めんどくさいことになるので、確認をしっかりして不備のないよう記入しましょう。
メディケア税の免除や経費の申告は必ずしましょう。
特に、メディケア税の免除は返金がかなりあるはずなので、ちゃんと手続きをしてくださいね。
メディケアの徴収免除をする場合は、メディケア徴収免除証明が必要となるので、タックスリターンの2ヶ月前くらいには別途申請をしておきましょう。
2021-2022年度のタックスリターンの申請方法は以上となります。
オーストラリアで仕事をする以上避けられない手続きなので、しっかりと手順を踏んでタックスリターンの申請を完了させてくださいね。
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